2010年12月27日

アクリルのPCケース作ってみた その2

前回の続きです。

大まかな作業のポイントはこんな感じでしょうかね。

. 寸法を出す。
. 切り出す。
. 曲げる。
. 穴をあける。ねじを切る。


なお、基本的なアクリルの加工方法はgoogleなどで検索すればたくさんありますので特に説明しません。
もしアクリル加工に慣れていないようでしたら、通販でアクリルの端材が1箱2000円くらいで売っていますので、これを買って練習するのがよいでしょう。端材といっても小物を作るには十分な大きさと、いらないと思えるくらいの量が入っているものがありますので重宝すると思います。


寸法出し

カットしたいアクリルのサイズや、取り付け穴の位置などを決める必要があります。例えばマザーボードの取り付け穴、バックパネルの大きさ、電源ユニットの取り付け穴などです。

これを適当にやってしまうとねじ位置がずれてマザーボードが固定できないなど悲惨なことになりますのでとても重要な作業です。

「ATX規格」という言葉がありますが、上に挙げた取り付け穴の位置などもATX規格として決められています。これらの仕様はこのWebサイトからダウンロードできます。

これで正確な寸法出しができるはずです。

あとは使い勝手を考えたパーツの配置です。これを語るのは難しいのでここではやりませんが、組み込みたいパーツのケーブルなどを全部接続して並べたり配置したい場所に置いたりして無理がないかどうか確認すると良いでしょう。思ったより電源ケーブルが邪魔だったり、さまざまなケーブルの取り回しにスペースが必要だったりします。


切り出す

今回外枠に使用したアクリルの厚さは5mmでした。これまでアクリルパネルで色々作った経験からすると、2mmが加工しやすく、3mmはちょっと大変だけどそこそこ強度があり、5mmは強度は十分だけど加工が大変、という感じです。

5mmにしたのはたまたまあった使える大き目のアクリルパネルがそれだったというだけですが、今回作ったサイズだと3mmは薄いかもしれません。


曲げる

アクリルのPCケース作ってみた その2



専用のヒーター(実はこれも自作だったりします)を使ってアクリルを暖め、ころあいを見計らって曲げます。

ここで必要なものは直角が出ている角材です。これを曲げたいアクリルの内側に置いて作業しないとちゃんとした直角がでません。角材を購入するときは直角が出ているかどうか要確認です。結構いい加減なものですよ。
角材の大きさは5cm角程度が良いかと思いますが、3cm角でも十分でしょう。

曲げるタイミングも難しいです。5mmもの厚さがあるとなかなか温まりませんし、温度が低い状態で無理に曲げると割れてしまいます。端材で予行演習するのは必須かと思われます。

以前作ったなんちゃって温度計で温度を測定してみました。それによるとヒーターとアクリルが接触している部分は120から130度程度、その反対側では75度程度のときに曲げました(思ったより低いですね)。まぁ「なんちゃって温度計」なのであまり信用できない温度ですが。

なお、写真では片手しか写っていませんが、実際には曲げたアクリルが戻ろうとする力が強いので両手でないとちゃんと加工できません。結構力が必要でした。


穴をあける・ねじを切る

穴あけは安い金属加工用のドリルセットを使いました。ドリルの回転速度とアクリルへの押し付けの力加減が難しいですが、コツをつかむまで端材で練習するしかありません。

回転速度よりもアクリルへの押し付けの力加減が重要ですかね。押し付けすぎると穴が貫通するときにアクリルが割れやすいです。貫通直前に力を抜くのがコツです。練習すると目視しなくてもドリルを通じて貫通直前の感触が伝わってくるのがわかります。


穴をあけるのはほとんどがねじ用の穴になると思いますが、どんなものもねじとナットで固定するというのも大変です。

例えば今回はHDDを天井にから吊り下げていますが、天井に接着したアクリルとHDDを取り付けるパネルはねじで固定しています。ここにナットを使おうとすると、ナットを固定するために狭いケースに手を突っ込まなければならず、面倒な作業になります。

そこで、ナットの代わりにアクリルにねじを切ると面倒な作業が不要になります。

アクリルのPCケース作ってみた その2



ねじを切る道具は「ハンドタップ」などと呼ばれていて、ホームセンターなどで売られています。購入のポイントはねじ径とねじのピッチ、下穴径をよく確認することです。あとタップを手で回すためのタップホルダーも必要ですね。

この方法の注意点は、ナットと比べてアクリルは弱いということです。ねじを強く締めるのは厳禁ですし、アクリルの厚さがないとねじの締め付けで割れやすくなります。


大き目の穴をあける

現在使っている金属加工用のドリルは6.5mmまでしかありません。もっと大きいドリルを買えばいいのですが、それでも15mmの穴をあけたくてもドリルがないかもしれません。

以前は金属ヤスリで穴を大きくしていたのですがきれいな円にならないし、何よりとても骨の折れる作業でした。なにか良い道具はないか探してみたところ、こんなものがありました。ダイソーで100円で売っています。

アクリルのPCケース作ってみた その2



円錐にサンドペーパーを巻きつけたようなもので、6.5mmの穴をあけたあと、これをドリルにセットして削るように穴を大きくしていきます。今回、15mmの穴をこれであけたのですが作業時間は10秒くらいで済むのでとても効率がいいなと感じました。

加工のポイントとしては、ドリルの回転数を速めにして使うことです。遅いとサンドペーパーの砂粒(?)がボロボロとれてしまいます。あと、円錐という形状なので穴の裏と表で穴径が揃いません。裏からも加工することで少しはよくなりますが、これはどうしようもないですね。


もっと大きな穴をあける

マザーボードのバックパネルや電源ユニットの排気口など、大き目の穴をあけるなら糸鋸を使うしかないでしょう。アクリル専用の糸鋸もあるようですが、手持ちのものは普通のものです。

糸鋸を使うときのポイントは摩擦熱ですかね。鋸をひくとアクリルとの摩擦で温度が上がりますが、上がりすぎるとアクリルが溶けて鋸にくっついてしまい、ひけなくなります。この状態で無理やりひくとアクリルに無理な力がかかってしまい、例えばアクリルの端だったらそこから割れてしまう場合があります。

曲げ加工した部分は特にもろいですので、その近くで鋸を使う場合にも注意が必要です。


最後に

まぁ駆け足で苦労話を書いてみました。
二度と作りたくないですが、出来上がったものには愛着がわきますね。
これだから自作というかものづくりはやめられない。

追記: 光モノを入れてみました。あわせてどうぞ。その1その2



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Posted by mgw at 21:53│Comments(0)D525MW
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